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例会研究発表要旨

2023年度鹿児島民具学会例会

■木場地区のモッゾ様(木像様)と枕崎の信仰をめぐる民具を訪ねて

牛山好治

 今年(2024年)の1月16日の南日本新聞に報道された阿久根市の諏訪ノ遺跡で発見された「懸仏」なる仏物からの展開。同じような仏物を所有していた枕崎市在住の方から連絡があり、県黎明館に報告し、詳しくは黎明館の調査結果を待つところである。

 この近くには、文安元年(1444)の諏訪神社といわれた南方神社があり、別当寺もあり、ここから900m北西方向に「懸仏」なる仏物の発見地があるので、「懸仏」の可能性は高いと思われるが、①一向宗禁制(隠れ念仏)との関連と名残りや、②切支丹禁制の名残り、③廃仏令(廃仏毀釈)の名残りの紹介する。

①一向宗禁制 (隠れ念仏)との関係と名残り 木場地区に伝わる一向宗禁制時の隠れ念仏の名残り「モッゾ様」の言い伝えを紹介し、枕崎で発見された「懸仏」なる仏物との関係性を説明。

②切支丹禁制の名残り 枕崎「鹿篭」では、7代領主喜入忠続 (忠政) から10代久亮まで、妻や娘が切支丹として捕らえられるなどの大騒動が起こったことに関連し、枕崎市史(1969年)記載の切支丹禁制の名残りである「切支丹灯篭」を紹介し、その根拠となる碑文の新たな「天地君親師」の確認を基に、仏教とキリスト教のカモフラージュについて考える。

③廃仏令(廃仏毀釈)の名残り 枕崎の古寺の状況を整理し、廃仏令による名残りを、首欠石像とそうでない石像についてその違いや、特に稲作信仰のシンボルで、人々に広く愛されてきた田の神像への影響を考えてみる。

2024年3月例会 - 2024.3.10 鹿児島県歴史・美術センター黎明館

牛山好治「木場地区のモッゾ様と枕崎の信仰をめぐる民具を訪ねて」
御鍵宗充・井上賢一共同発表「フィールドワーク南さつまの伊勢講行事」

鹿児島民具学会の歩みと活動2023年度


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