7月 水車からくり加世田市竹田神社のからくりと知覧町豊玉姫神社のからくり。何が違うのか?| 加世田風物詩 < 南さつま半島文化

からくりを解く

―薩摩半島加世田と知覧の水車からくり―

からくりの水車

*動画●2003知覧町
豊玉姫神社の水車からくり

*動画●2002加世田市
竹田神社の水車からくり

(MediaPlayer)
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 昨夜ゆめぴか本町通りのポシェット公園でからくりをみました。パチンコ店のネオンをよそに,電気仕掛けのからくりは午後9時の目抜き通りで,優雅にあるいは神秘的にひとつのドラマを繰り広げます。

 昨年(1995)から南さつまの水車からくりを調べています。ご存知のように今も毎年上演されるのは,加世田(かせだ)の竹田神社の水車からくりと,知覧(ちらん)豊玉姫神社(とよたまひめじんじゃ)の六月灯(ろくがつどう:鹿児島の夏祭り)です。

 ところが知覧町内を調査して,豊玉姫神社以外にも8箇所の水車からくりがあったことを知りました。しかも戦後まであった集落もありました。そのからくりはと言えば,竹田神社のように水車を使って一定方向にぐるぐる回転するものもあれば,豊玉姫神社のように水力を利用してさまざまな動きをを見せるものや人の力で回転するものもありました。なかにはバケツで水を汲んできて水車を回して人形を動かしたという苦労話もお聞きすることができました。

 さて,加世田と知覧のからくりはよく比較されますが,昨年(1995)鹿児島市立科学館で両方の人形が仲良く並んで展示されました。竹田神社のからくり保存会の方はそのときの印象を,「断然加世田の方が見栄えがした」と言います。技巧がこらされた知覧の人形と,ダイナミックな加世田の人形,二つが並ぶことは大変貴重なことだったと思います。何せ,その土地土地の心意気の詰まった人形は,門外不出だとも言われます。知覧のことを言えば,ミュージアム知覧でも展示していません。保存会の方々にとっては,「見るならぜひ六月灯で見てほしい」と言うことでした。

 私は知覧のからくりはその動きを見せる舞台芸,加世田のそれは人形自体を見せる風流の世界だと考えます。国や県の文化財である前に,市民の文化遺産として大切に伝承していってほしいものです。

[調査報告●万之瀬川流域の農村水車カラクリ人形芝居]

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