*南さつま歴史街道 - 名勝図会

三国名勝図会
第27巻 薩摩国川辺郡 (3)

薩摩国川辺郡 久志 秋目

久志港の現景


史料 注・固有名詞

5 産物

5-1

土石類

砥石 久志村港内博多浦の山上に産す。俗に所謂なくり砥石なり。

【久志村】【博多浦】
【なくり砥石】

27-9a

5-2

薬品類

枳殻 △茯苓 △海人草 △山帰来 △金銀花 △天門冬

○枳殻(からたち)
○茯苓(ぶくりょう)
○天門冬(てんもんどう)

5-3

蔬菜類

石花菜(トコロテンノリ) △紅海苔(トサカノリ)

○石花菜:テングサ

27-9b

5-4

樹木類

色変(イロカハシノ) 久志村桑原にあり。此松囲一丈五尺、高十五尋あり。春は枝葉を生して青翠を増し、秋に至れは葉皆黄色に変して、落葉せず。又春に至て常の如し。故に土人色変の松と呼ぶ。土人神木と称して崇敬し、香花を供え、敢て此松に触るゝ者なし。往古は此地に桑原寺といふ寺ありて、庭中の樹なりしとぞ。其寺廃して今はなし。

【色変松】
【久志村】【栗原】
【桑原寺】

5-5

飛禽類

鷹 海辺懸崖に巣ひ、子を生む。毎年官用となる。

○飛禽類(ひきんるい)

5-6

鱗介類

鯔 △乾鯔卵(カラスミ) 秋目浦の海上に産す。鯔卵を乾せるを方言にからすみと称じ、世人甚是珍味とせり。からすみは、加世田片浦、及び秋目浦のみ出といふ。土人鹿児府に出し、又浪華に遣して、重価を得るとぞ。当邑の名産なり。 △鉛錘魚(カツヲ)

○鯔(ボラ)
○乾鯔卵(からすみ):片浦及び秋目浦のみ出といふ
【秋目浦】
【加世田片浦】
○浪華:浪花(なにわ)のことか

鉛錘魚[1](カツヲフシ) △[2](ムル) △黒鰻(シビ)魚 鉛錘魚以下の三品は、所産の内、所得の最とぞ。 △[3](アラ) △[4](フリ)〔[4]に腹赤腹白の二種あり。方言そぶぢ。〕△鯖、 △[5](チン) △棘[6](タイ) △烏賊 △海鰻 △(メハル) △たばめ〔方言。〕 △文蛤 当邑漁釣を業とするを以て、所魚を得ること多し。

[1]?(にく月に昔)
[2]?(魚へんに室)
[3](魚へんに敏)
[4]?(魚へんに連)
[5](魚へんに尨)
[6]?(髟に下に鼠)

27-10a

6 叢談

6-1

女子短冊

秋目村の土俗、毎家の女子、毎年八月朔日には、和歌を短冊に書し、是を生竹の枝に垂て、其竹を各宅地の庭に立つ。往昔 持明夫人秋目村に駐留の時、其寂寥を慰むる為に、女子を召し、手自ら和歌を短冊に書して賜ひし故事なりとか哉。

【女子短冊】秋目村の風習
【秋目村】
【持明夫人】慈眼公(島津家久)正室

27-10a

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