1月 七日節句・鬼火焚き|加世田風物詩 < 南さつま半島文化|
新しい年を祝う加世田(かせだ)の正月行事は元日,七草,小正月の三つのグループに分かれます。加世田では七草の日をナンカンセッ(七日の節句)と呼び,数え7歳の子供が,近所や親戚7軒からナナズシ(七草雑炊)をもらって回ります。同じ7日には,前日のムイカドシに片付けられた正月飾りを川原や広場で焼く,大きな火祭りがあります。この行事はオネッコ・オネッポ・オニケンビなどと呼ばれ,いずれも鬼火焚きから来た言葉のようです。今でも津貫・小湊を除く市内各地で行われています。
愛宕上(加世田校区あたごかみ集落)のオネッポッポは6日の夜に行われ,国道を行き来する人の足を止めさせます。モウソウ竹でやぐらを組み,下には子供たちが集めてきた正月飾りが置かれます。年男・年女の子供が火をつけると見るみるそれは燃え上がり,パンパンと竹のはじける良い音が辺りに響き渡ります。昔は子供たちが6日の夕方に準備をし,夜通し番をして7日の早朝火をつけていたそうです。
愛宕上では伝染病がこないように火を焚いたのがはじまりと伝えられ,今でもオネッポッポの煙に当たれば病気にならないといわれます。以前はこの火で餅を焼いて食べ,1年間の健康を願いました。今はぜんざいを親子会で準備します。
また,久木野の中山(くきの校区なかやま集落)では鬼火焚きのやぐらのてっぺんから鬼の絵を描いた紙を垂らし,それに焚き木を投げて落としたりしました。市内には十字路や三叉路などで火を焚く集落もあります。実はこうした交差点は魔物が集まりやすいところだと考えられていました。鬼を追い払い,健康を祈願するという意味が鬼火焚きにはこめられているようです。
→[写真●市来・山下の鬼火焚き]
→[写真●中村・松元の鬼火焚き]
→[資料●ドキュメント鬼火焚き]
→[分布図●加世田市の鬼火焚き]