2月 伊勢講2 加世田市小松原の伊勢講は祠の宿移りではなく,神職役の集落民が伊勢講を参る| 加世田風物詩 < 南さつま半島文化|
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先月,上津貫(久木野校区かみつぬき地区)のお伊勢様が1年ぶりに浦口(うらぐち集落)から新山(しんやま集落)の公民館へうつりました。以前は市内各地で,家々を毎年回るお伊勢講がありましたが,戦後は公民館や神社でずっと預かる地区が大半になっています。
万世の小松原(ばんせい校区こまつばら地区)では,2月11日に公民館でお伊勢講があります。メインイベントは,1年間のお伊勢様の当番を決めるくじ引き。二人の立会人を前に,先輩から順に,お盆に入れられたくじを引いていきます。外れた人は,口から「ふーっ」と息をハズレくじに、ふきかけるようなしぐさをします。見ている人は「潮が満ったどー」という掛け声。当たりくじには小さな丸印がつけられています。
こうしてお祭りの主役である「太夫」という役目1人と,「引き手」(補佐役)2人が決まると,その場で太夫役に,昔から伝わる祭りの装束と烏帽子が着せられます。顔には墨を塗って仮装。それまでの集落民からお伊勢様をお祭りする神職に変身するわけです。
その後の親睦会が終わると太夫役を中心に寄木八幡神社(よりきはちまんじんじゃ)へ向けて出発。以前小松原では,1年ごとに各戸を回る,お伊勢様と住吉様をお祭りしていましたが,今はこれらの祠は神社に収められており,公民館から神社までのミニ宿移りが繰り広げられるわけです。
さて,その宿移りでは3年に1度「道楽(みちがく)」という踊りがあります。踊り自体は落ち着いた感じのものですが,昔の宿移りは大変にぎやかで,バスも止めてしまうほどでした。今は,まず国道脇のエビス様にお参りします。隣の家から借りたゴザに太夫・引き手3人が座り,「小松原の発展を願って・・・」とお祈りしながらお供えのカマボコをエビス様に投げます。八幡神社でも同じように祈願があり,簡単な精進料理を食べて祭りが終わります。
神社での祈願に「神サア,神サア,若い衆が協力してくれますように・・・」という声が聞かれました。伝統のある行事をみんなで守っていきたいものですね。
※記事に誤りがあったため一部原文を修正しました(2002.2.11)。詳しくは下の特集をご覧ください。