薩摩半島の十五夜行事 はじめに・綱引き・綱引きずり・ソラヨイ・まとめ |鹿児島の民俗 - 薩摩民俗HOME|
井上賢一著「薩摩半島における十五夜行事の構造」(『南九州市薩南文化』第3号、2011年、南九州市立図書館編・発行所収)
十五夜に出現する「異形の神」を初めて見た。1991年、知覧町中福良でのこと。「今夜来んと、明日の晩な、麦藁3把、松明5丁、ホーイホイ」。帽子から下がったワラのすだれに顔をすっぽり覆い、ワラの腰蓑を巻いた子供たち。どうしても異形の神としか思えなかった。
それから18年目の秋、再び中福良のソラヨイを見た。足元はスニーカーをはき、集落への触れ回りではもうワラ帽子は被らない。小野重朗氏は、1960年の著書で、この行事の「消滅」を予言していた〔小野1960、47〕。幸いこの行事は21世紀まで残ったが、今風の変容もいたしかたないように思われる。
ここでは、今一度薩摩半島の十五夜行事について、綱引行事を視点として、その構造を明らかにしていきたい。
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