牧洋一郎
太平洋に面し波が荒い地域・西之表市伊関沖ヶ浜田集落では、種子島で唯一、集落住民の共同作業による手作り黒糖作りが行われている。それは、本島を代表する特産品の一つでもある。
かつて本島では約300軒以上、各集落ごとの砂糖小屋にて製糖活動が行われていたが、現在、沖ヶ浜田集落の「沖ヶ浜田黒糖生産者組合」が1ヶ所(2軒)となっている。歴史的には、昭和35年、本島に大資本による3ヶ所の製糖工場(新光糖業)が設置されたことによる(現在、中種子町に1ヶ所)。
当該集落の砂糖黍農家10~16戸が、毎年12月~翌3月頃まで共同作業を行い、1日約6tの黍(オーギ)から600㎏の黒糖を製造する(当該期間の製糖活動の回数は、約20回程度)。
作業行程として
(1) 砂糖黍の収穫・・・・手作業
(2) 砂糖黍の汁をしぼる・・・・ローラーを使った小型圧搾機
(3) 砂糖黍の汁を煮詰める
(4) 練りあげる(空気を入れる、丹念に行う、冷めてくると固まる)
(5) 型に流し込む
(6) 黒糖(製品)の出来上がり
村落住民の大同団結したこの共同作業は、本島の伝統的産業として将来に残さねばならぬものと実感した。なお、調査の結果として、黍の絞り粕はどう処理しているのか、オキ(残り火=炭火)の利用はあるのか、そして今後どうなるのか等、課題(更なる調査)を残すことになった。
2009年1月例会 - 2009.1.10鹿児島市中央公民館