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■碁石茶の作り方

蒸し桶製茶は加熱→揉捻→乾燥という工程で作られます。茶の葉が自然に発酵していくのをどのように加熱して止めるかという違いで,発酵茶(紅茶など)・半発酵茶(ウーロン茶など)・後発酵茶(碁石茶など)・不発酵茶(緑茶)に分類されます。碁石茶は自然発酵は蒸して止める一方で,人為的に強制発酵させたものです。


●碁石茶新旧工程表(東梶ヶ内小笠原正春氏から井上調査)
工程 細目 現在の製造工程 以前の作り方(現在と違う点のみ)
@茶摘み 茶葉 ○山茶2種類を混合使用
 ネヅキエン:苦い
 ツバキエン:甘い
○現在はヤブキタも使う
○ヤブキタは使わなかったが,碁石茶が山茶でなければ作れないというわけではない。
摘む ○6月末〜7月始め3・4日間
○85年ごろから枝ごと鎌で刈り取る。
○束ねて籠に入れて持ってかえる。
○2年目のもののみ採る。1年目は次の年。
○1日一人8貫(30kg)まで
○独居老人を人夫に・隣村落からも車で連れて来る
○手に布を巻いて丁寧に摘み取る
○葉の2/3だけ摘む。
○毎年摘む。
○イイ1日5世帯20・30人。緑茶のときはしない。
A蒸す 蒸す ○蒸し桶(直径90深さ120)の底にスノコを入れ,中心に竹の芯を立てる。
○1桶に束ねたままの茶葉30〜35貫(112.5〜131.25kg)を入れる。(仕上がりは1/3で10貫になる)
○全部入れ終わると芯を抜く。(蒸気の抜け道)
○露天の釜に蒸し桶をのせる。
○ちょうど1時間半蒸す
○出た茶汁は取っておいて,細菌発酵で使う。
○葉だけを摘んでいたので,枝はない葉だけを入れる。
冷ます ○大型の天秤で吊り上げ,台車で運ぶ。
○束ねてある枝を振って,冷まし,かつ不純物を振り落とす。
○蒸し桶に綱をかけて竹の棒を通して,二人で担いで釜から外す。
○筵の上に広げて冷ます。
○イイのテマガエ4・5人で不純物を取り除く。
○熱いので鎌など用いる。
B寝かせる 広げる ○蚕室に筵を敷き60pの厚さに冷ました茶葉を積む
○上から筵をかぶせ,外気が当たらないようにする。(1週間)
○空いている部屋で良い。今も蚕室が空いているので。
広げ置く ○3日で発酵が始まる
○4日目から1日1・2回手で温度確認。
○手がはっと熱く感じる60度になると,筵の上から手で押さえて発酵を抑制する。
○作業工程でもっとも肝心な作業。長年の経験と勘が頼り。
踏む ○5,6日したら1日3回足で押さえて完全に発酵を止める。
○厚さ20cmになり茶葉がぴったりくっつく。乳酸菌も全体に行き渡る。茶褐色から黒味を帯びた色に。
現在と同じ
冷ます ○上の筵を取り除いて,手前から葉をほぐし,熱を冷ます。
○不純物をさらに取り除く。
現在と同じ
C漬け込む 漬け込む ○漬け桶(蒸し桶と同じ大きさ)に茶葉を底から30cm入れる。
○取っておいた茶汁をひしゃくに3杯入れる。
○足で踏み固め,厚さ15〜20cmに圧縮
○以上を6,7回繰り返し口から15cmまで漬け込んでいく
○蓋を載せる。
○漬け込んだ茶葉と同じ重さと成るよう重しの石を載せる。(ここまで1日)
現在と同じ
漬け置く ○乳酸発酵で,次の朝には蓋が10p位持ち上がっている。10日〜2週間発酵させる
○2・3日たつと発酵で泡がたち,音が聞こえる。
○1週間で発酵が静まりはじめ,石の重さで蓋が下がり始める。
○10日で沸き終えて7・8cm蓋が下がっている。
○ここまでくると,収穫時の1/3の量になっている。
○今は10日〜2週間だが,本当は漬け込めば漬け込むほどよい。
○長くつける場合は,蓋に赤土を塗って,細菌を防ぐ。
○麦の収穫と重なるとき。
○次の年まで漬けておいたことも有る。
D絶つ 切り出す ○タチ包丁(長さ1m)で,ジョウギをあてて縦に25cm角に切る。
○鎌のようなもので漬け込み時の層ごとに取り出す。縦25×横25×厚15〜20のブロック状
現在と同じ
切り裂く ○ブロックを厚さ10cmに分ける。
○切り台に乗せ,茶きり包丁で,1寸角に切る。
○手で厚さ0.5〜1cmに裂く
(縦3×横3×厚さ0.5〜1)
現在と同じ
漬け置く ○一斗桶に入れ,足で踏み,揉む。(粘りをつけ,角を取る)
○漬け桶に再び入れる。
○1日2回茶葉を踏んで雑菌を防ぎ,晴天を待つ。
現在と同じ
E乾す 乾す ○晴天になったら午前4〜5時から筵に置き始める。
○人夫を頼んでで1日に筵60枚広げられる程度。(午前10〜11時に置き終わる)
○夕方に筵をたたんで屋内にしまう。
○次の日は位置を変えて乾す。
○3日目も同様。
○イイ4・5人に来てもらう。
休ませる ○4日目に茶の内部の湿気を表面に出すため,シートの中に入れて休ます。 ○筵の中に入れたまま,休ませていた。
乾す ○5日目に人夫を頼んでもう一度天日に乾して完全に乾かす。
○夕方適当に仕舞う。
○イイ4・5人に来てもらう。
F俵詰め 俵を作る 既製品の茶袋を使う ○筵で正味12貫(45kg)の茶俵「茶丸」を作る。
詰める ○既製品の茶袋(10貫=37.5kg)に詰めて出荷。
○崩れた茶は振るいにかけて良いものを「こな茶」として出荷。(価格は半額)
○茶丸に製品を詰めて出荷。

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