9月 十五夜綱引き- 同じ加世田に二つの八月十五夜年中行事「綱引き」と「綱引きずり」|加世田風物詩 < 南さつま半島文化|
中秋の名月,本町では大綱引きでたいへんなにぎわいをみせます。
干河中原(ひごなかはら)の十五夜綱引きは,やぐらを組んで三本綱をかけ「ソーラヨイ,ソーラヨイ,ソーラヨイヨイ」の掛け声でネリアゲテ(綯いあげて)いきます。できた綱は蛇のようにぐるごるっと巻き,それを囲んでお月様にお祈りをします。いよいよ綱引き。昔から「十五夜の綱にかかればカゼをひかん。綱を引けばなおひかん」と言われ,小学生が一人になった今も集落あげての綱引き合戦がくり広げられます。[加世田の十五夜綱引き:中原・中山・市来・山下]
さて加世田には,子供が「十五夜お月さん早よ出やれ,子供が喜び綱を引く。エーッサッサ,エーサッサ」と元気よく歌いながら,綱をずるずる引っぱって集落内を回るもう一つの十五夜綱引きがあります。唐仁原(とうじんばら)ではこうして集落を一巡するだけで本町のような綱引き合戦はありません。[加世田の十五夜綱引きずり:唐仁原・小松原]
どうして同じ加世田でこんなに違うのでしょか。実は十五夜の綱は竜あるいは蛇をイメージしています。脱皮して力を再生する海の精霊の力にあやかって健康を祈願し,集落を清める。海に近い万世(ばんせい)は特に古いすがたを残していますが,他の地区でも綱をとぐろ状にまいたり,久木野(くきの)の中山(なかやま)のように子供たちが竜(綱)に代わって集落を走り回る行事も同じような意味があるのではないでしょうか。
この健康祈願から豊作祈願,さらに作況占いの要素が加わって綱引き合戦が生まれました。農業が中心の小湊中央(こみなとちゅうおう)では2本の綱をかけあわせて切れた方が負けという具合でした。
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