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例会研究発表要旨

2005年度鹿児島民具学会例会

■加世田鍛冶について
―最後の加世田鍛冶職人による加世田鎌の製作工程―

鮫島美千代

 県の伝統的工芸品にも指定されている加世田鎌・加世田包丁には、深い伝統がある。加世田鍛冶の細工物の歴史は古く、加世田の古文書『加世田再撰帳』(天保14年)に、加世田五名物の一つとして記載されており、遠く離島まで運ばれていたことが記されている。このことから、江戸後期には加世田の鍛冶細工物は名物として、各地で知られていたことがうかがえる。
 このように名を馳せた加世田鍛冶も、現在では指定された伝統的技法で作っているのは、小湊に住む阿久根丈夫氏のみである。
 今回の発表では、①鍛冶の歴史的変遷②加世田で鍛冶屋が発生・発達した由来③藩政時代の加世田の製鉄の様子④加世田の鍛冶屋の信仰⑤阿久根氏による加世田鎌の製作工程⑥加世田鍛冶の伝統工芸品指定要綱⑦阿久根氏の経歴などのインタビューまでを紹介した。
 県の指定を受けた伝統的技法で加世田鎌と加世田包丁を製作できるのは、阿久根丈夫氏のみになってしまったのは大変残念である。この貴重な伝統技術は加世田の文化遺産であり、市民の財産である。これを良い形で保護していくにはどうするべきか、後世に残していくにはどうすればよいか、加世田鍛冶に関する今後対処すべき課題は沢山ある。

2005年7月例会 - 2005.7.2 かごしま県民交流センター

鮫島美千代「加世田鍛冶について」
徳留秋輝「枕崎のガランドンと隠れ念仏について」

鹿児島民具学会の歩みと活動 < 2005年度


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