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例会研究発表要旨

2006年度鹿児島民具学会例会

■彼岸の行事

小川秀直

 彼岸会は春分、秋分の前後七日間行われる仏教行事である。春分、秋分の日を中日、中日三日前を彼岸の入り、最後を明けとする。
 春彼岸の入りの日に、子供の成育を祈り、疱瘡にかからないように祈るコッゾメイの行事がある。神仏、ことに疱瘡の神とされる虚空蔵菩薩に参るのである。天然痘(疱瘡)は今では根絶されたが、伝染力が強く致命率が高い恐ろしい病気であった。
 疱瘡から逃れるために、踊りや神仏祈願、民俗習俗などいろいろな手段に頼っていた。ハナツマンダゴを作ったり、顔に粢を塗って防ごうとしたりと、人々は必死であった。
 疱瘡が根絶されて人々の意識が薄れてきたことにともない、近年、行事も急速に消失してきた。
 今後も、消え残った疱瘡除けに係わる行事を探ってみたいと思っている。

2007年1月例会 - 2007.1.7 かごしま県民交流センター

鮫島美千代「記録からみる薩摩焼の陶石産地」
小川秀直「彼岸の行事」

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