牧洋一郎
鹿児島県本土では、阿久根市脇本地区の松木製糖工場(個人経営)が唯一、毎年初冬に黒糖つくりを行っている。この工場では、石灰を入れずに製造することが特徴である。数年前までは、僅かに石灰を入れていたが農事試験場職員の「石灰を入れなくとも糖度が高ければ固まる」という助言により、それ以来、石灰は使用していない。なお、特筆すべきはやはり同職員の助言により、砂糖黍に付着している白い粉は価値(ミネラル)があるので洗い落とさない、とのことである(一般には、洗い落としてから黍を絞る)。そして、商品化された黒糖は工場や地元の道の駅などでも販売され、更に県外にも出荷され好評とのことである。
製造工程は概ね左記の通り。
ここでは、後継者がいないのが問題とのことである。しかし、地域再生・農村活性化のためにも、無添加の伝統的甘さや風味を作りだす昔ながらの伝統的黒糖製法は更に受け継がれていかねばならぬといえよう。
2010年5月例会 - 2010.5.8 鹿児島市中央公民館