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例会研究発表要旨

2011年度鹿児島民具学会例会

■奄美の民具(1) 竹細工と竹製品

下野敏見

 奄美の竹製品はいろいろあって興味深い。背負籠のティルは、島によって少しずつ形が違うが、いずれも実用的でありながら美しい。ティルの口縁部は巻き縁になっているのが多いが、それは下からのタテヒギを一本ずつ口縁部で曲げて縁にしていく。ティルの緒を掛ける耳の作りも興味深いが、これは伊豆諸島や沖縄にも共通している古い耳(紐掛け)作り法であるようだ。

 奄美大島のティルは、底の四隅にクズマ(貝の一種)といって、貝を四個おいたような美しい形をしている。沖永良部島では小型の腰籠をティルといい、奄美大島では背負い籠のティルと同型の海用の小型のものをウンディールといい、磯(いしょ)ティルともいう。また、壺型の海用の小型ティルをイビラクともいう。ウミディールや磯ティル、イビラクはティルの原型として注目される。ティルの緒をつけて頭がけして大きい荷物を背負う以前は、小さなティルを腰につけて海や山に行ったと考えられる。

 奄美のバラ(笊)には、三つ飛び三つくぐりの作りのものが多い。これをサンバラという。サンバラは、編み模様が波状文を描いているようで、躍動的で美しい。これに対し、二つ飛び二つくぐりや枡形編みのバラもある。

 バラは丸口型であるが、片口型のソーケもある。ソーケはトカラではソーキ、鹿児島ではソケとかショケなどという。中国語の「■簣」音に由来するようだ。

■…竹冠に肖

2011年7月例会 - 2011.7.2 鹿児島市中央公民館

下野敏見「奄美の民具(1) 竹細工と竹製品」

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