小松原道楽踊り

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「小松原道楽踊り」基礎データ

小松原道楽踊りは、お伊勢講の送り迎えに踊られたと伝えられる郷土芸能です。踊り子は頬被りをした女装の青年達で、露払いに箒、後ろに三味線・鼓などの囃しが続きます。

「小松原道楽踊り」写真と解説

1.小松原道楽踊りの現状

小松原道楽踊りは「ミッキャク(道楽・みちがく)」と呼ばれ、かつては伊勢講の送り迎えに踊られたものという。宿移りがみられる伊勢講習俗は今も続けられているものの、現在では伊勢講時に道楽を踊ることはなくなった。文化祭などで数年に一度披露されている。

小松原道楽踊り

2.小松原道楽踊りの内容

道楽踊りの露払い踊り子の構成は、露払い・踊り子(扇子持ち・鳴子持ち)・囃し手からなり、三味線の単調な囃しに合わせて踊る。唄はなく、三味線に合わせて踊り子が「ハーイヤハー」と囃す。

露払い(2人)は長柄の箒を持ち、大名行列の奴踊りにも似たしぐさで先払いをする。

露払いの後には、日の丸の扇を持った踊り子、「ヨン竹(呼び竹)」と呼ばれる竹の鳴子を持った踊り子が続く(2011年文化祭披露時は、扇子持ち8人、鳴子持ち10人)。踊り子は、いずれも女装に頬被りをした青年達(今は壮年も入る)。

行列の最後には、太鼓(太鼓持ち2人・太鼓打ち2人)、三味線3人、鉦2人、小太鼓(つづみ)2人と続く。太鼓は、2本の棒(長さ199センチ)の上に、直径30センチの太鼓が据えられて、子供2人が肩から担ぎ、両手を添えて持つ。その後ろから大人の太鼓打ち2人が太鼓を叩く。三味線役のみ女性で、浴衣に笠を被り、手に三味線を持つ。以上太鼓・三味線合わせて7人は顔を出している。最後に鉦・鼓(つづみ)に続くが、この4人は踊り子と同じく浴衣姿の青年で頬被りをして顔を隠している。

3.小松原道楽踊りの特徴

道楽踊りの囃し子現在では伊勢講習俗の中では踊られなくなったものの、浴衣に頬被りの装束は、南さつま市笠沙町片浦の伊勢講宿移り行列と類似しており、伊勢講の送り迎えに踊ったという伝承は正しいと思われる。

行列の露払いである箒持ちは、大名行列の奴姿にも似ており、箒の先のブラシ部分を挟箱に見立てているようにも思える。踊り・囃しは単調であるが、華やかで、かつ滑稽にも感じられる。南薩地方の伊勢講習俗は、祭り好きの伊勢神の力を借りて、疱瘡退散を願う意味合いが強い。この道楽踊りもそうした背景があると考えられる明るい踊りとなっている。


〔実地調査〕
2003.10.17 小松原公民館 / 2011.11.3 「ふれあいかせだ」にて開催された南さつま市加世田地域文化祭

〔参考文献〕
編さん委員会編『加世田市史・下巻』350頁「道楽踊り」(1986年、鹿児島県加世田市発行)
小松原公民館道楽踊保存会作成資料「道楽」(2003年。B4判プリント1枚)

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