吹上の水車カラクリ

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「吹上の水車カラクリ」基礎データ

吹上の水車カラクリは、加世田の水車カラクリと同様に等身大の人形を、特設の回り舞台で見せるものです。加世田と異なり、水車が水平回転してその力を直接回り舞台に伝えています。

「吹上の水車カラクリ」写真と解説

1.南薩摩における水車カラクリ

吹上の水車カラクリ 南薩摩における水車カラクリは、用水路にかかる水車を動力として、人形を動かす伝統芸能であり、南薩摩地域に分布し、夏祭り六月灯で披露されるもの。

 伝承地分布は、人力で回すものまで含めると、日置市・南さつま市・南九州市の14か所にあったことが分かっている(そのうち水車によるものは10か所)。現存しているものは、日置市吹上町の吹上温泉祭り(湯之権現六月灯)、南さつま市加世田の竹田神社夏祭り、南九州市知覧町の豊玉姫神社六月灯の各祭礼で披露される。

 起源は不確だが、灌漑用水路を利用する点に着目すれば、現在の水車カラクリの形に形態が整えられたのは、早くても17世紀中旬以降と考えられる。吹上の水車カラクリは、戦中途絶え、昭和60年に復活したもの。

2.吹上の水車カラクリ

 日置市吹上町湯之元では、吹上温泉祭り(湯之権現六月灯から発展。現在は7月28日に近い日曜日)に、水車カラクリが披露される。湯之元川から引き込む用水路にカラクリ舞台を掛ける。現在は、農村振興総合整備事業で作られた「湯之元温泉広場」の入り口に常設のカラクリ広場が設けられている。

 この水車カラクリでは、水平回転する水車の力を、軸をとおしてそのまま舞台の上に伝える。注目点は水車の設置方法で、「垂直」に据えるのではなく、湯之元の水車は水面に「水平」に置かれている。水車の直径は約90センチ。舞台の上には、加世田のトンボと同様の台が置かれている。その台に等身大の人形を設置する。舞台上も水平回転のみ。松村博久氏・門久義氏の報告によれば、この水車からくりは、少なくとも明治の終り頃には行われていたという。昭和11年頃までは続けられており戦争で中断、昭和60年に復活している〔『薩摩の水からくり』88頁〕。

→詳しい解説は「水車からくり・六月灯(ろくがつどう)

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「吹上の水車カラクリ」記録映像・記録画像

吹上の水車カラクリ2005
吹上の水車

2005(平成17)年
Webアルバム

吹上の水車カラクリ2005
どじょうすくい

2006(平成18)年
YoutubeWMP

吹上の水車カラクリ2008
篤姫と西郷

2008(平成20)年
YoutubeWMP

総集編「薩摩の水からくり」 - YouTube薩摩半島民俗文化博物館チャンネル


〔実地調査〕
2005.7.29、2006.7.30、2008.7.26。

〔参考文献〕

拙著「祭礼の中の水車からくり―南薩摩における研究視座の提示」(『鹿児島民具19号』、2007年鹿児島民具学会編・発行に所収)
拙著「万之瀬川流域の農村水車カラクリ人形芝居」(民俗文化財調査事業報告書『薩摩の水からくり』、1997年知覧町教育委員会発行に所収)

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