加世田の太鼓踊り
「加世田の太鼓踊り」基礎データ
加世田の太鼓踊りは、豊作祈願・豊作感謝の踊りです。花笠・振袖姿の鉦・小太鼓と、大太鼓とで二重の円陣を組んで踊ります。益山と内山田では夏祭り「六月灯(ろくがつどう)」に、津貫と小湊では秋祭り「豊祭(ほぜ)」に、地域の神社に奉納されます。
- 場所:鹿児島県南さつま市加世田(かせだ) → 地図
- 日時:
益山太鼓踊り:7月24日前後の休日
内山田太鼓踊り:毎年7月25日
津貫豊祭太鼓踊り:毎年10月27日
小湊太鼓踊り:10月第三日曜日 - 文化財指定:津貫中間豊祭太鼓踊りは鹿児島県指定無形民俗文化財。その他は指定なし(一般文化財・無形民俗)。
- メモ:益山・小湊は、神社には駐車スペースがないので、近くにある地区公民館にとめさせてもらうと便利です。津貫は特設駐車場に、誘導員が案内してくれます。内山田は神社前の空き地か路上駐車になります。神社奉納以外にも、地区内各集落を踊って回ります。
「加世田の太鼓踊り」写真と解説
加世田の太鼓踊りは、夏祭り「六月灯(ろくがつどう)」に奉納されるものと、秋祭り「豊祭(ほぜ)」に奉納されるものとの、2種類がある。
六月灯の踊りは益山太鼓踊りと内山田太鼓踊りで、いずれも地区の古墓・古石塔群のそばで踊りはじめる。地域の偉霊の力にあやかり、稲害虫を追う(虫送り)豊作祈願の踊りと言える。竹田神社夏祭りに奉納される士踊りの稚児踊りも、太鼓踊りの一つと考えられる。一方、津貫豊祭太鼓踊りと小湊太鼓踊りに伝わる踊りは、豊作に感謝する踊り。
踊り子は、二重の円陣を組む。内側には少年が振袖・花笠で女装した鉦・小太鼓が、外側には青年が矢旗を背負った大太鼓が、円陣を作って踊る。
大太鼓の桴(バチ)は、益山太鼓踊りが南九州市勝目のものと同様に、ワラで作られている。その他の地区では、藺を用いた小さな桴を、回したり、太鼓をこすったりする仕種で、美しく舞うように踊る。太鼓踊りという名称が付いているが、いずれの踊りも太鼓の音はほとんど聞こえず、鉦の音が厳かに響く。太鼓を響かせるというよりも、太鼓を付けた踊り子が、優雅に踊りを見せている ― 太鼓は楽器というよりも、採り物と考えるほうが的を得ているように思える。それらの太鼓踊りは念仏踊りにも通じ、祖先供養を目的としていると考えられる。
→比較検討「薩摩半島における太鼓踊りの桴(バチ)」
「加世田の太鼓踊り」記録映像・記録画像
〔実地調査〕
1991年以降、南さつま市加世田(旧加世田市)各地にて調査。