小湊太鼓踊り
「小湊太鼓踊り」基礎データ
小湊太鼓踊りは、寄木八幡神社の秋祭り豊祭(ほぜ)で奉納される太鼓踊りです。大太鼓の踊り子は藺草の桴を持って、優雅に踊ります。鉦と小太鼓は清楚な白装束です。歌い手は円陣の中で歌います。
- 場所:鹿児島県南さつま市加世田小湊 寄木八幡神社( - かせだ・こみなと・よりき - ) → 地図
- 日時:毎年10月第3日曜日 午後9時ごろから神社奉納
- 文化財指定:指定なし(一般文化財・無形民俗)。
- メモ:神社には駐車スペースがないので、近くにある小湊地区公民館にとめさせてもらうと便利です。神社で奉納した後、小湊地区内各地を回ります。
「小湊太鼓踊り」写真と解説
1.小湊太鼓踊りの概要
小湊太鼓踊りは、10月15日(現在は10月第三日曜日)に、加世田小湊の寄木八幡神社の秋祭り豊祭(ほぜ)に奉納された後、集落内を回る。大浦から伝わったという伝承がある。
踊り子の構成は中打ち4名(鉦2人、小太鼓2人)、平太鼓(2011年は24名)で、他に歌い手3名がいる。中打ちは白装束に花笠を被る。鉦は左手に鉦・右手に橦木を持つ。小太鼓は肩から胸の下に垂直に吊るした太鼓を、両手に持った桴で両側から叩く。平打ちは、白装束に鉢巻姿。背中に矢旗を背負う。太鼓は直径48センチで肩から腹の前に垂直に吊るし、両手に持った桴で両側から打つ。踊りは、中打ちが内側に、平太鼓が外側に、二重の円陣を組み、歌い手は中打ちと平の間に並ぶ。歌には「年のうちより」「桜の下の」「しぶ山」がある。
平太鼓の桴はブッと呼び、藺草製で、実測したものは長さ16センチ。太鼓の音は殆ど聞こえず、鉦の音が厳かに響く。手首を捻ったり、手のひらを泳がせたりと、ゆったりと優雅に踊る。中打ちの白装束は、この太鼓踊り清らかな踊りであることを伝えている。この踊りは戦後中断し、復活した太鼓踊りだが、伝承が一時中断したからこそ、古い衣装を踏襲しているのかもしれない。
2.小湊太鼓踊りの楽と歌詞
【演目】
- ハッサックイ
- 庭マワリ
- トボクイ
- 弓ヒキ
- カンカン
- コスッ
- コンケン
- トッデコ
- スデコ
- ブッマワシ
【歌詞】
○年のうちより咲く梅の花
かおりも ふりも ひとしお うるわしく
野辺の風さえ そよそよと
オーロンコーロン ココーロン
○しておけ
桜の下にふしと書きおく
その言の葉をわか紫の花
かんかきつばたあやめにかかる
夕顔のつゆたもとに残る
○しぶ山
しぶ山を ハヨイヨイ
車にのせてミスしぶ山を
車にのせて山このサンギリさんが
しぶ山を車にのせて エイエイエイ
山この三五郎さんが
かたびらに まのえりをかけて ヤー
※演目・歌詞は、『加世田市史・下巻』から引用しました〔341・342頁〕。
→加世田の太鼓踊りの比較・検討は、「加世田の太鼓踊り」参照。
→参考「薩摩半島における太鼓踊りの桴(バチ)」。
「加世田の太鼓踊り」記録映像・記録画像
〔実地調査〕
1991.10.20・2011.10.16
〔参考文献〕
編さん委員会編 1986年 『加世田市史・下巻』 鹿児島県加世田市