伊作田踊り
「伊作田踊り」基礎データ
伊作田踊りは、伊作田地区で3年に1度踊られる太鼓踊り系芸能です。室町時代の伊作田城主伊作田殿を慰霊し、豊作・豊漁を願うものとされています。
- 場所:鹿児島県日置市東市来町伊作田地区( - ひおき し・ひがしいちき ちょう・いざくだ)→地図
- 日時:3年に一度、8月15日のお盆前後の日。
- 文化財指定:日置市指定無形民俗文化財
- メモ:秋に伊集院町徳重神社で行われる妙円寺詣りには、奉納芸能として、この伊作田踊りを含め日置市内のたくさんの郷土芸能がみられます。
「伊作田踊り」写真と解説
伊作田踊りは、元伊作田集落(東市来町伊作田)の伊作田兵部太夫道材の墓前で踊った後、伊作田各集落から江口浜へ回って踊られる。もとは、伊作田殿の命日とされる旧暦7月1日に、のちに月遅れの新暦8月1日に、現在は3年に一度、新暦8月の盆前後に踊られる。
踊り子(ヤッシャ。役者)は多人数で、隊形も複雑に思えるが、小野重朗が整理したところによると、①踊り子(ヒラガネ・イレキガネ・イレコ)、②中入り・ナギナタ、③ウダイコの三重構造になっているという。先頭に庄屋ドンという指揮者がついている。衣装も役によりそれぞれで、大太鼓のみ紹介すると、白装束に菅笠姿、背中に短い矢旗を背負う。太鼓は肩から腹の前に吊るす。
歌詞にサバエ(サバエは稲の害虫)、サネモイ(実盛)などがある。落ち着いた楽曲が多いが、一方、踊り子は跳躍を繰り返す。
小野重朗は、踊り子の内輪が伊作田殿の御霊を慰める念仏踊り系の静かな踊りで、大太鼓の外輪は虫送りのための跳躍的な激しい踊りであるという二重性を指摘している。
大太鼓は藁製の太い桴(長さ50センチほど)で、大きな動きをしながら太鼓を打つ。
→参考:「薩摩半島における太鼓踊りの桴(バチ)」
「日置市の太鼓踊り」記録映像・記録画像
〔実地調査〕
2011.10.22(10月第4土曜日)日置市伊集院町徳重神社
〔参考文献〕
小野重朗著 1993 『南日本の民俗文化Ⅳ 祭りと芸能』 第一書房