吉利太鼓踊り
「吉利太鼓踊り」基礎データ
吉利太鼓踊りは、飾りを付けた4メートルの矢旗を付けて踊る勇壮な太鼓踊りです。虫送りの意味があり、豊作祈願の踊りです。
- 場所:鹿児島県日置市日吉町吉利 南方神社( - ひおき し・ひよし ちょう・よしとし・みなみかた - )→地図
- 日時:毎年8月23日。
- 文化財指定:日置市指定無形民俗文化財
- メモ:秋に伊集院町徳重神社で行われる妙円寺詣りには、奉納芸能として、この吉利太鼓踊りを含め日置市内のたくさんの郷土芸能がみられます。吉利太鼓踊りは、吉利北区太鼓踊り・吉利中区太鼓踊り・吉利南区太鼓踊りが、毎年順番に奉納します。
「吉利太鼓踊り」写真と解説
吉利太鼓踊りは、新暦8月23日に、吉利の南方神社に奉納したされたあと、各集落を回る。もともとは、吉利北区・中区・南区がそれぞれ奉納していたが、現在は順番に毎年一つずつ奉納している。踊り子は鉦2人、小太鼓(コデコ)2人と、20名ほどの大太鼓(ウデコ)で構成される。隊形は鉦・小太鼓が内側に、大太鼓が外側になる二重の円陣を組んで踊る。
鉦役は紺の着物に花笠被り。左手に鉦を持ち、右手の撞木で打つ。小太鼓役は緑・青の着物に花笠を被る。首から胸の下に垂直に小太鼓を吊り下げ、両手に持った桴で打つ。小太鼓には美しい飾り布が垂らされている。大太鼓は、白衣に鉢巻姿。背中に高さ四メートルほどの矢旗を背負う。太鼓は肩から腹の前に垂直に吊るす。
大太鼓の桴は、ムベ製の細長いもので、実測した吉利北区のものは、長さ42センチ。手元に布製の輪を作ってある。太鼓は48センチ。『日吉町郷土誌』によれば、桴は落とさないように、これを小指に掛けて叩くという〔郷土誌471頁〕。踊りは長い矢旗をゆらし、全体に勇壮なものとなっている。
なお、郷土誌によれば、日置八幡神社でも8月27日に太鼓踊りがあり、組織・服装・踊り方は「吉利の太鼓踊りと大体同じ」としている〔郷土誌474頁〕。
太鼓の音で稲の害虫を追い払う「虫送り」の要素が強い、豊作祈願の踊りと考えられる。
→参考:「薩摩半島における太鼓踊りの桴(バチ)」
「日置市の太鼓踊り」記録映像・記録画像
〔実地調査〕
2011.10.22(10月第4土曜日)日置市伊集院町徳重神社
〔参考文献〕
編さん委員会編 1988 『日吉町郷土誌・下巻』 鹿児島県日吉町